医療現場のコミュニケーション力 ①オープンクエスチョンのすすめ

オンラインでの対話やチャットなどの文字が中心のコミュニケーションで、深い議論はできているでしょうか?

多摩大学 医療・介護ソリューション研究所 フェロー 石井富美

石井富美

新しい生活様式の中で、人と人の関わりの場に変化が出てきました。
特にコロナ禍でのコミュニケーションの取り方については、オンラインという新しい形が定着してきました。医療介護の現場は、人が人にサービスを提供する現場ですから、全てがオンラインに置き換わっているわけではありませんが、会議や研修などの多くがオンラインになったのではないでしょうか。

画面越しの対話であれば、ある程度表情を見ることができますので、対面での会話に近いコミュニケーションは取れるかもしれません。しかし、なんとなく伝わる空気感、ちょっとした仕草や表情の変化で読み取っていた雰囲気、ニュアンスなどは伝わりにくくなったかもしれません。
そして、言葉ではなく、チャットなどの文字でのコミュニケーションも増えてきました。これまでも電子メールでのやりとりはあったと思いますが、より手軽なチャット機能が一気に普及した印象がありますね。

皆さんは、このオンラインでの対話やチャットなどの文字が中心のコミュニケーションで、深い議論はできているでしょうか?

もちろん、テーマがあり、決めるべきことが明確な会議などは問題なく進んでいると思いますが、スタッフとの面談や個別の相談などはどうでしょうか。
これまでは雰囲気や空気感など、ノンバーバルな要素を頼りに会話の「間」をとったり、声のトーンを変えたりして、言いにくそうな様子に対応したり、感情を受け止めたりしていた方も多いのではないでしょうか。
もちろん対面であっても、話しやすい雰囲気や、言葉掛けなどの「場」づくりは大切です。それが画面越しや文字だけになったときは、さらに多くの「言葉」が必要になってくるでしょう。

つい黙ってしまった相手に、「どうしたの?」「〜なの?」「〜が嫌なの?」と相手の考えを先読みした質問ばかりを投げかけてしまうと、「はい」と「いいえ」しか返ってこなくなり、本当の思いや考えを引き出せなくなってしまいます。そんな時は、相手の考えを引き出す「問い」、オープンクエスチョンを活用しましょう。

「今、あまり話したくないのは、どんなことを気にしているの?」とか、「さっきの質問に答えにくいのは、どの言葉がひっかかっているかしら」など、理由や気持ちを答えやすいような問いかけをしていくと良いでしょう。
文字でのやりとりにしても、状況や感情を丁寧に表現した「言葉」を織り込むことで、伝わりやすくなります。

先日、1人のスタッフの上半期の人事評価面談をオンラインで行った時に、組織改変に伴う異動があることを伝えたのですが、感情的に乱れてしまい、言葉が出なくなってしまいました。人事異動ですから、嫌なら動かなくて良いというものではありませんが、本人も納得し前向きな気持ちで新しい担当業務についていただきたいですよね。

ただ、こちらからの一方的な期待ばかりを画面越しに語りかけても、気持ちを閉ざしてしまっているとなかなか受け入れられないものです。その日は、「今の職場のままだとしたら、下期にどんなことをやりたいか、異動したとしたらどんなことをやりたいか、やりたくないかを、明日、もう一度時間を取るので教えてくださいね。」という問いかけをしました。

感情が落ち着かせて、自分の気持ちを整理するために「考えるきっかけになる問い」を示すことで、自分の言葉で自分を振り返ることができるようになります。翌日の面談では、今の職場の居心地の良さや、異動に伴う漠然とした不安があることを語ってくれましたので、期待している役割をお伝えし、必要なサポートなどについて具体的な話をすることができました。

質問の仕方や言葉の選び方で、コミュニケーションはグッとスムーズになりますので、ぜひコミュニケーションスキルを磨いてください。

オープンクエスチョンの手法やパラフレージング、認知フレームの理解を進めることでコミュニケーションスキルを身につける研修を行っています。関心を持たれましたら、ぜひお声掛けください。


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