このような時代だからこそ考えてみませんか「接遇」について その5

~このような時代だからこそ考えてみません

人とメディケア研究所 箕輪由紀子

前回は、マナーの5つの基本要素のうちひとつ目の挨拶についてお伝えしました。マナーの5つの要素は(1)挨拶(2)表情(3)身だしなみ(4)言葉遣い(5)立ち居振る舞いでした。今回は、(2)表情、についてお届けします。

前回の記事はこちらから「(1)挨拶~お互いを認め合う」


(2)表情~第一印象を決める大きな要素

「あの人は、第一印象は良くないけれど、付き合ってみると案外いい人ね」、良く聞く話です。しかしながら、患者さま応対は時間をかけてお互いのことを理解したうえで始めるわけではありません。「表情」は第一印象を決める大きな要素であり、自分で意識をしていないと、気づかぬうちに人に不快感を与えている場合があります。患者さまは楽しみで病院にいらっしゃるわけではありません。不安な気持ちでいらした方に、安心感を与える応対が求められるのに、怖い顔やイライラした表情で応対したらどうなるでしょうか?こういう積み重ねが何かのときにクレームに発展するのはわかっているのに、「忙しいから」と言い訳をしたところで患者さまには関係ないことであります。

では、暇なときには優しくて柔らかい表情ができるかというと、実はそうではないことが多いのは言葉遣いと同じです。そもそも怖い顔で応対するのも優しい顔で応対するのも、時間に差はありません。忙しいからを言い訳にするのは、患者さま応対のプロとしては失格だと言えるのではないでしょうか。

病院では当然いつも笑顔とは限りませんが、何もないときには患者さまは職員の笑顔に癒されるのは間違いありません。ここで、「笑顔」の効能を考えてみましょう。「幸福論」の著者であるフランスの哲学者アランは「幸福だから笑うのではない。笑うから幸福なのだ」と言っています。また、ダーウィンは「笑顔というのは気分が良いときに出るだけでなく、微笑むという行動そのものが、気分を向上させる効果を持つ」という仮説を140年前に立てています。

特別な場合以外は、笑顔の人を見て悪い印象を受けたり、嫌な表情だと思う人はまずいないでしょう。ペンシルバニア州立大学の実験では、笑顔の人は穏やかで、いい雰囲気を表出し、有能そうな印象すら得るという結果が出ています。また、笑顔は相手に安心感を与え、不安感を取り除きます。そうすると、相手も話しやすくなり、円滑なコミュニケーションが取りやすくなります。病院では、患者さまとの良い関係性により、小さな症状や変化を話してくださり、また、こちらからのお願いも聞き入れていただきやすくなります。職員間では、何か問題があっても事が大きくなる前に話ができ、業務の進行がスムーズになります。また、笑顔で接すると、情報も集まりやすくなり他部署の人とも良い関係を築くことができ、業務効率も上がると考えられます。

参考 拙著「人間力とホスピタリティを極める心からの接遇」

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