病院の悪質な未収患者

夜間救急受付や昼間の窓口業務の質的強化が重要

一般社団法人 日本医療業務支援機構 理事長 石飛隆敏

一般社団法人 日本医療業務支援機構 理事長 石飛隆敏

病院への支払いが停滞している悪質な未収患者の心理を覗いてみよう。「あの病院の督促が甘いから当分無視しておこう」、「いま生活が苦しいから医療費ぐらいは後回しでいいだろう」などと思っているに違いない。

このような未収患者は限られた収入のうち、常に支払いの優先順位を考え自分の所持金を確認しているため、生活に直結する家賃や光熱費、食費、携帯代、嗜好品、友人からの借金などは確実に支払おうとする。残念ながら医療費を真っ先に支払うことをしない。それどころか病院の未払い自体を忘れている患者もいるだろう。完全に病院が未収患者からなめられている状況にある。

そもそも悪質な未収患者というのは直感が鋭く、施設内の雰囲気や相手の言動や行動などで自身の対応を使い分ける。悪質な未収患者は、病院玄関エリアの環境、外来受診や入院時の窓口職員の対応や事務手続きも観察しており、受診した病院の窓口業務の質が高くない場合、「会計時に適当な嘘でごまかしておこう」、「この病院は未収になって督促は厳しくなさそうだ」などと考えるのである。

コロナ禍では、多くの業種で経営が行き詰まり、給与や賞与がカットされるだけでなく、勤務先までもが倒産し失業となる人も少なくない。生活困窮に陥る人は増え、病院における未収金の懸念が徐々に広がっている。病院が悪質患者から見抜かれないためには、夜間救急受付や昼間の窓口業務の質的強化が重要となる。

未収金が増えてしまう原因は、未収担当職員の業務のやり方に問題があるだけでなく、接遇を含めた窓口業務の対応にも大いに関係しているのである。今後もきちんとした未然防止対策を講じた上で、生活困窮の未収患者が自院に一定の割合で存在することは仕方ないこと。しかしながら、病院窓口の初期対応の甘さで悪質な未収患者が生活困窮の仕方ない事情での未収金に上乗せで増えていくことは避けていかなければならない。


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