今こそ変わるとき

自院の未収金業務体制を再点検し、不足している対応を今から整えておく

一般社団法人 日本医療業務支援機構 理事長 石飛隆敏

石飛隆敏

 私たちを取り巻く現代社会は、今後医療機関の未収金が増えてしまう様々な要因が渦巻き合わせて懸念も付きまといます。更に昨年4月からの民法改正で損金処理期間が3年から5年へ見直しされたことも大きな影響を及ぼす変化の一つです。これらの状況を経営者がきちんと認識され、自院の未収金業務体制を再点検し、不足している対応を今から整えておくことが必要です。院内における未収金が増えてしまう状況は以下が挙げられます。

 まず職員の問題意識や危機意識の無さです。受付窓口が暗く患者さん側から見て乱れた箇所が目に付き整理整頓ができていない、また職員の接遇が今ひとつで受付会計や診療の待ち時間が多い、それから古い内容の掲示物がそのままで一部が破れていたりしていれば要注意です。

 次に部門間や部門内の連携がうまく取れていない状況です。これでは未収金に必要な業務情報が素早く共有できず横断的な業務対応も不可能となります。結果、個々の職員が自分の業務のみを淡々とやればいいという職場風土になり、円滑な人間関係の構築もほど遠いといえます。

 それから未収金管理に係る業務体制そのものが不十分な場合です。職員一人で大量の未収患者さんを自分のペースで担当する、正職員でなく派遣職員などに任せる、また業務そのものを外部会社等に委託するなどです。

 更に体制のほか未収金の実行部門である医事課職員の患者さんとの会話不足です。患者さんは外来受診時や入院中に患者さんは何らかの未収サインを発信していますので、接触する機会が少なければ未然に必要な未収情報をキャッチすることができません。この状況だと患者さんとの信頼関係を作れず希薄な空気感で会計時に未収対応することになります。

 次はそもそもの問題ですが、医事部門に牽引するリーダーの不在があげられます。本来リーダーとならなければいけない職員はいるのですが、中には本人に自覚なく動かない人もいます。若手職員がやる気あっても活かされていない職場であってはいけません。

 あと不十分な医療サービスにより未収金が増える可能性があるので気をつけなければいけません。外来受付や会計、診察や検査、入院時や療養中での患者さんに対する各種説明や対応不足は未収になるリスクを高めてしまいます。未収のほとんどのケースでは患者さん側の生活困窮による原因で未収が発生しているのですが、これまで述べてきた医療機関側の状況が改善しない限り、未収金の未然防止体制を確立することができません。

 債権回収会社や弁護士事務所、連帯保証人代行会社の活用も一つの事後における未収対策で少しは有効かもしれませんが、今回のコロナ禍をきっかけに、長年改革が進まない自院の職場に潜在する真の原因に切り込み、現場の職員が納得する本当の意味での働き方改革を実行してほしいと思います。そう変化していかなければ、働く者のモチベーションと能力は上がらず、未収金業務に限らず質の高い業務提供は永遠に実現することなく地域関係機関や患者さんからも評価されません。今この自院の置かれた重大な局面に気づき、変わることができた医療機関だけが今後更に激化する厳しい競争に淘汰されず生き残れるのでしょう。

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