未収金が増える外的要因とは?

8つの要因と標準的かつ組織的な仕組み

一般社団法人 日本医療業務支援機構 理事長 石飛隆敏

石飛隆敏

8つの要因があることを確認しましょう。

1つ目は、予期せぬ自然災害や今回のようなコロナショックなどによる影響で経済活動が急激に変化、所得が激減し失業者が増えることです。

2つ目は、先の見えない景気低迷の中で、特に短時間労働者や派遣労働者など雇用形態の事情により低所得者層の割合が多くなったことや預貯金がほとんどない少額の年金生活者の存在が挙げられます。

3つ目は国民負担社会になったこと。消費税を始めとする段階的増税、生活必需品や食品などの実質的物価上昇です。また、閉塞感漂うストレス社会の到来、人間関係の複雑化、国民の価値観の多様化、モラルの低下などにより、モンスターペイシェントやファミリーが増えたことで自己の価値観のみで支払いを拒むことが4つ目。そして、超高齢化社会の到来により医療費も全体で42兆円を超え、医療機関に受診する対象者自体が増えてきたことによることも5つ目として挙げられます。

6つ目は、保険医療制度の見直し。特に70歳以上の制度では30年前と比較すると患者の負担が大幅に増えていることがお分かりいただけるでしょう。また高額療養費制度も同様の経過をたどってきています。70歳未満の方でも一か月入院で食事代を含めると12万ほど必要になります。

そして7つ目は、これも医療制度に係るものですが、国民健康保険と生活保護との狭間の公的保障制度が不十分な点です。無料定額診療という制度も存在しますが一部の医療機関に限られています。

最後の8つ目は医療制度設計そのものの問題ですが、日本では一患者が同症状で何回も複数の医療機関に受診できます。相性が合わない医師や医療機関の雰囲気、職員の対応などが悪かったりすると、医療機関を渡り歩くことができるのです。未収常習者がいれば未収金を巻き散らかすことにつながりかねません。

このように、我が国の社会は、現在も複雑かつ混沌とした状況が続いており、予期せぬ事態が振りかかってくると、更に不安と混乱を招くことになり事態を悪化させる傾向となります。コロナのような予期できない事態は仕方ありませんが、予測できる医療機関内の業務対応は標準的かつ組織的な仕組みへ整備され、未収金を今より悪化させないことが大切です。

引用:産労総合研究所『医事業務』(とびさんの第六感!)より

産労総合研究所ホームページhttps://www.e-sanro.net/magazine_iryo/iji/

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。