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看護師に必要とされる「患者の状態を的確に把握できる臨床推論」

【特定看護師と診療看護師の違いと資格取得の過程 篠﨑真弓】

12.看護師に必要とされる「患者の状態を的確に把握できる臨床推論」

前回より『臨床推論』についてご紹介しておりますが、
その中でも特定行為研修を受けた看護師の臨床推論は、
診断学や疾病論も学び、医師側の臨床推論を行っていることを述べさせていただきました。
*前回記事はこちらから「11.パネルディスカッションでのご質問

今回は一般看護師の臨床推論についてです。
一般看護師の多くは『パタン認識(直観的思考)』だけで患者の状態変化を捉えてきたと思います。
そのため経験豊富なベテラン看護師は、類似した患者に対する実践的知識、経験から概念化できており、
周囲からは「研修医よりもできる」というような印象を持たれています。

しかしその反面、経験が不足しているような場面に遭遇すると、類似した経験知から外れることもあります。
また若手の看護師は、初めて出会う疾患や症状、状態変化に、
「いつもと何かが違う、でもその何かが分からない。」
と変化を上手く言語化できず、

「この患者さん、何か変です。先生診に来てください。」

というような報告を、医師へ行うこともあるのではないでしょうか。

看護師の臨床推論について、具体例を出して説明します。
夜中に患者が息苦しいとナースコールを押してきました。
「心不全の既往があるこの患者に、いったい何が起こっているのか?」ということを系統立てて整理していきます。
「息苦しい(呼吸困難)⇒心不全の悪化」というパタン認識に、
「夜間就寝時臥床⇒静脈還流が急激に増加⇒約2~3時間後に肺への血液貯留(=夜間発作性呼吸困難)⇒うっ血性心不全」
という病態整理を加え、
入眠後から息苦しくて寝ていられなくなるまでの時間の確認、呼吸音を聴取し複雑音を確認するなど、
バイタルサインの他に、その判断(心不全であること)の根拠となるものを集め、論理的に考察していく。
そうすることで、医師に対し

「○○さんが、息苦しさで目を覚ましていました。入眠後3時間後の覚醒であることと、肺音では水疱音が聴取されました。既往に心不全があるので、夜間発作性呼吸困難の症状かと思います。診に来てください。」

といった報告をすることができ、
医師が到着するまでの間に、心不全の予測に伴った迅速な準備や対応ができます。
患者の苦痛・不安の時間が減少し、重症化を防ぐことにつながります。

このように看護師が臨床推論を活用することで、
患者の状態を的確に把握し、緊急度や重症度が判断でき、
より良いケアをタイムリーに提供できるようになるということです。
普段からバイタルサインから得た情報を病態生理に結び付け、
異常か否かを考え分析する習慣を行うことで、
看護師に必要とされる「患者の状態を的確に把握できる臨床推論」が身につくようになるのではないでしょうか。

【前回記事】 11.パネルディスカッションでのご質問

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プロフィール
篠﨑 真弓
略歴
1994年 日本医科大学付属病院 入職 (看護係長まで務めるが、大学院進学のため退職)
2011年 東京医療保健大学大学院 看護学専攻 高度看護実践コース入学
2013年 東京医療保健大学大学院 看護学専攻 高度看護実践コース修士課程卒業
2013年 日本医科大学武蔵小杉病院 入職
(診療看護師として研修後、循環器内科心不全ケアチームや救急外来でのトリアージなどを行う)
2017年 日本医科大学看護専門学校 異動 基礎看護学担当講師
2018年 東京医療保健大学 助教


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