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在宅診療医との連携で考えたいこと

【特定看護師と診療看護師の違いと資格取得の過程 篠﨑真弓】

10.在宅診療医との連携で考えたいこと

認知症・心不全のある90歳代の女性(A氏)が、脱力を主訴に救急外来へ搬送されてきました。
在宅診療医の紹介状には、脱力の原因精査、脳梗塞の有無を確認して欲しい旨が書かれており、
外来担当医と共に診療・検査を行ったところ、
脳梗塞は否定され、低ナトリウム血症であることが判明したため、
早速ナトリウム補正を開始しました。

補正には浸透圧性脱髄症候群のリスクがあり、入院をしながら徐々に補正をしていく必要がありました。
低ナトリウム血症についての詳細説明や入院の必要性をA氏の家族に行いながら、
入院の手続きを進めていたところ、家族は私に、A氏が以前入院した際、
せん妄の発症や認知症が悪化し、退院後の生活が安定するまで大変だったと話し始めました。

また、今回の入院でさらに認知症が悪化してしまうことが気がかりであるため、
入院せずに在宅医に診てもらうことはできる状態なのかと相談してくださいました。
私は、外来担当医にその旨を説明し、在宅医へ連絡をとることの了承を得たため、
電話で在宅医にCT所見や脱力の原因が低ナトリウム血症であったことを報告させていただき、
家族の思いも伝えました。

そしてどの程度まで救急外来で治療をすれば、
在宅での継続治療が可能なのかということも検討していただきました。
在宅医は、内服薬の調整(ナトリウム排泄型の薬剤変更)を検討し、
救急外来では◯mEq/lまで投与すれば(推定血清ナトリウム値○mEq/lになれば)、
以後はA氏宅で引き続きナトリウム補正を行えるようにと訪問の日程調整もしてくださり、
家族の希望通り、A氏は自宅で継続治療を行えることになりました。

今の日本は高齢化率が27.3%(2016年10月)と上昇を続けており、
2025年には30.3%を超える超高齢化社会が待っています。
そして高齢者が介護を受けたい場所は「自宅」が男性約4割、女性約3割。
「治る見込みがない病気になった場合、最期はどこで迎えたいか」については「自宅」が54.6%、
次いで「病院などの医療施設」が27.7%となっており、延命治療は行わず「自然にまかせてほしい」は91.1%となっています。

今回のケースはA氏の家族の介護力もあったことや、
自宅での継続治療の受け入れを調整してくださった在宅医や外来担当医の柔軟な姿勢があったからこそ実現したことです。
このような高齢化社会の中、患者が望む療養生活とは何か、
また家族が望む介護生活とは何かを考えることが大切だと感じます。
在宅医療の需要が確実に増え、今回のようなケースも増えるだろうと推測できます。
ですが、患者が望む療養生活や家族が望む介護生活に寄り添える医療を提供したいと思う反面、
仕事としている以上は利益も得ないといけません。
今回のケースで考えると、病院側は損失といいますか、入院による利益を逃したとなります。
しかし、高齢者は容易に廃用症候群に陥ってしまうというリスクを考えると、
短期入院でなくなる可能性も高く、診療報酬では廃用症候群のリハビリ加算も下がっているなど含めるとどうなのか…。

患者・家族、病院、在宅、みんながいいねと思えるような
1.臨床のアウトカムと病院経営を考える機会となったこと
2.医療の機能分化と地域連携を考える機会になったこと
3.診療と看護の双方から家族の思いを実現するための介入ができたこと
4.診療看護師としても学びとなるケースでした。

参考資料
平成28年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/zenbun/29pdf_index.html

【前回記事】 特定看護師や診療看護師に関する医療安全管理や補償などのようになっているのでしょうか?

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プロフィール
篠﨑 真弓
略歴
1994年 日本医科大学付属病院 入職 (看護係長まで務めるが、大学院進学のため退職)
2011年 東京医療保健大学大学院 看護学専攻 高度看護実践コース入学
2013年 東京医療保健大学大学院 看護学専攻 高度看護実践コース修士課程卒業
2013年 日本医科大学武蔵小杉病院 入職
(診療看護師として研修後、循環器内科心不全ケアチームや救急外来でのトリアージなどを行う)
2017年 日本医科大学看護専門学校 異動 基礎看護学担当講師
現在に至る


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